未来志向が陥る罠とバックキャスティング、そしてプロトタイプの引力

ストレングスファインダーをご存知でしょうか。 全部で34種類ある特性の中から、自分の強みである5種類の特性を調べるテストです。

私の会社では、ストレングスファインダーを使った研修があります。 研修では、自分の強みを業務に活かす方法を、同じ強みを持つ同僚にヒアリングする課題を行います。 今回私はヒアリングされる側で、特性の1つである「未来志向」についてアドバイスしました。 本稿は、その時のアドバイスをまとめたものです。

未来志向が陥る罠

未来志向の特性は、下記の通りです。 「さあ、才能に目覚めよう」から引用させて頂きました。

「もし……だったら、どんなにすばらしいだろうなぁ」と、あなたは水平線の向こう側を眼を細めて見つめることを愛するタイプの人です。 未来はあなたを魅了します。 まるで壁に投影された映像のように、あなたには、未来に待ち受けているかもしれないものがこまかいところまで見えます。

素晴らしい。未来がクリアに見える才能のようです。 ただし、 未来を実現するプロセスまではクリアにならない 点を意識しておく必要があります。 ここで言う未来は他人から見ると「ただの妄想」レベルの話で、大した価値が無い(場合によっては悪影響な)ノイズにしか見えない可能性があるということです。

「訳が分からないことを言う人」と「未来を切り拓く人」は紙一重です。

プロセスが抜け落ちた未来を語り続ければ、「訳が分からないことを言う人」と認識され、まともに取り合ってもらえなくなります。 両者の違いは、自らの行動によって未来を体現し、他人を巻き込んでいけるかどうかで決まります。

フォアキャスティングとバックキャスティング

一旦本題から外れますが、未来思考法にフォアキャスティングとバックキャスティングというものがあります。 どちらも未来のことを考える点は同じですが、時間軸上のベクトルが正反対になっている点が異なります。

フォアキャスティングは、過去・現在の情報を元に、来るであろう未来を予想し対応する考え方です。 それに対し、バックキャスティングは視点を未来に置いて、理想の未来を実現するために今何を対応すべきかを考えます。

未来志向的な発想は「理想の未来」から始まるため、バックキャスティング型のアイディアと言えます。

なぜアイディアがただの妄想に見えてしまうのか

例えば、未来志向のAさんが「どこでもドアを作りたい」と考えたとします。 しかし、それをBさんに熱弁しても伝わりません。 何故なら、 Bさんのフォアキャスティングの範囲を”逸脱”している からです。 プロセスが抜けている理想を追求するAさんと、現実的な未来を見ているBさんとでは話が噛み合うはずがありません。

バックキャスティングで共通言語を得る

逆に考えると、フォアキャスティングの範囲に入ることができれば、アイディアが伝わりそうです。 Bさんの範囲に入るには、Aさんがバックキャスティングを進めればOKです。 ……と簡単に書きましたが、バックキャスティングは孤独で、骨と心が折れる作業です。 誰からも真の理解を得られないアイディアを地道に具体化していくには、大きな熱量が必要です。

Aさんは地道にバックキャスティングを続け、「小動物程度の物体を転送できる理論」を得たとします。 Bさんが理論を解釈できる場合、二人の関係は変化します。

キャスティングの範囲が重なりました。 重なった部分は共通言語です。 二人は、理論を軸として会話ができるようになります。 ただし、Bさんの熱量は低いままかもしれません。 Bさんを本格的に巻き込むには、プロトタイプを提供します。

プロトタイプの引力

Aさんは、「小動物程度の物体を、実際に転送できる装置」を開発しました。 どこでもドアには程遠いですが、立派なプロトタイプです。 プロトタイプには、現在を未来にする引力があります。

人々はプロトタイプを手に入れると、それを使って何ができるか、未来はどうあるべきかを急速に考え始めます。 いわば足場のようなもので、プロトタイプを基準にしてフォアキャスティングができるようになります。

時にはプロトタイプに対して批判的な意見が出ることもあります。 これは Aさんには見えていない範囲の未来がBさんには見える からであって、大変喜ばしい状態です。 より良いゴールの場所が見つかるかもしれません。

まとめ

  • 未来思考の方法として、フォアキャスティングとバックキャスティングがあります。
  • アイディアが伝わらないのは、共通言語が無いからです。
  • 共通言語はバックキャスティングを続けることで作り出すことができます。
  • プロトタイプは、現在を未来に引きつけることで状況を劇的に変化させます。
  • ストレングスファインダーおすすめです。まだの方は是非お試しください。